呉服・和装・印伝 山森呉服店掲示板

お陰様で創業106周年。店主エッセイが多いかな。

しあわせラーメン(前篇)

零細ではあるが、百年以上商家を続けている我が家に代々伝わる宝の一つを紹介しよう。

昔は今よりずっと忙しかった。殊に催事中はご来客が多い。
「今日はとても昼ご飯を作る暇が無いから、出前でラーメンを頼もう」ということになる。

お客様が途切れた時に出前が来れば御の字だが、そううまくばかりはいかない。
接客中に出前が届けば、当然それにありつくのはお客様がお帰りになってから。

また、全てのお客様が引けて、家族や店員さんが全員揃って「頂きまーす」を言った直後、
お客様が「こんにちはー」。さすがにこれはきつくないと言えば嘘になる。

とどめのように間もなくまたお一人「こんにちはー」。
一口も手を付けずに瞬間的に箸を置き、「いらっしゃいませー」。
まず一人、続いてもう一人、売場に飛び出してお相手を始める。

和装小物などの場合は短時間で応対が済むことがあるが、
お召物(呉服)選びの場合は大抵一時間半はかかる。

大喜びで一生懸命お相手させて頂き、商談がまとまり、お客様がお帰りになる。
で、手の空いた順に食事に戻る。

ラーメンはとうの昔に室温と同じになり、汁は全く無くなり、麺は昔の黒電話のコードのような太さになっている。
我が家ではこの状態のラーメンを、「商人(あきんど)にとって最高にありがたいもの」と口伝されている。

事実、お客様のご用向きを果たした後のこの「ラーメンだったもの」は「食える」のである。
お客様のために生き、生かされていることを実感しながら食えるのだ。

逆に言えば、毎回毎回何にも妨げられずに食事を始めることができ、
終いまで喰い遂せることができるのは商売が十分に繁盛していないとも言える。

(後篇に続く)






  1. 2015/03/21(土) 19:54:38|
  2. 店主の日記
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