呉服・和装・印伝 山森呉服店掲示板

お陰様で創業106周年。店主エッセイが多いかな。

プロフェッショナル

先日、あるお客様から紬(つむぎ)の単長着(ひとえながぎ:ひとえのきもののこと)をお預かりした。
「これを単(ひとえ)の二部式きものに改造してちょうだい」とのご用命だ。
呉服屋にとっては珍しくないご注文である。

いつもの和裁師さんに要点を説明の上、発注した。
数日して彼女から電話。

「社長!このきもの、解いて用尺を吟味したら、お客さんのご希望寸法には全然足りません」
「お前(すごく親しいのでこんな口をきいている)、ベテランのプロだろ?泣き言言わずに出来ることを全部考えてみて」

続けて
「共衿に隠れる部分の地衿とか、きもの袖から短い元禄袖になるんだからその余りとか、
 外紐は共布でも、中紐は別布を使うとか、最悪の場合は下衣の下前衽(おくみ)は別布にするとか、
 与えられた条件の中で仕立てるんだから、最小限の接(は)ぎができるのも構わないからね」

「わかりました。やってみます」
「よろしくお願いします。それでも困ったら連絡ちょうだい」

それから十日ほど経って彼女が来店。
「出来ました」

ウルトラCとも言える見事な出来栄えだった。さすがはプロ。天晴れである。
もちろん呉服屋の功績ではなく、和裁師さんの腕前がすごいのである。

そういえば先月もこれとそっくりの困難なケースを、別の和裁師さんが「しゃらっ」とやってのけてくれた。
あの仕立も見事だった。





今の時代、和裁師さんはもはや無形文化財に近い貴重な存在なのではないか。
今となっては一万人に一人といった能力と思う。
呉服屋など、クライアントと和裁師さんの単なる架け橋に過ぎない。

ただ呉服屋の名誉にかけて言えば、呉服屋はそんな時、
コーディネーターとして一定以上の能力(知識と経験と見識)が不可欠と思う。










  1. 2015/07/28(火) 21:25:13|
  2. きもの・和装
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