呉服・和装・印伝 山森呉服店掲示板

お陰様で創業106周年。店主エッセイが多いかな。

寿司屋と呉服屋⑥(完結編)

sukiya¥1180


先日土用丑の日に食べた牛丼チェーン店のうな重。
侮れない。美味かった。
欲を言えば米が今一つだったが、そもそも高価なウナギが更にうなぎのぼりの今時、
このボリュームで1,180円なら、満足感とお得感は相当なものだ。
この企業努力には敬意を表する。

余談だが、家族3人そろってご飯は食べきれなかった。
「こんなに残るなら2個だけ買って分け合って食べればよかったか?」
なんて、更に倹(つま)しい後悔を覚えたりして。

これがこのシリーズで長々開陳している「並」であり「回転寿司」なのだ。
さあ続けよう。今回で終わらせないと。

さて、同じ仕事を3年5年10年と続ける内に、「おれはこの線未満の呉服は売りたくない。扱いたくない」
相当若い頃からそういう「ボーダーライン」を持つようになった。
仕入と販売の経験を積み重ね、身に付けたラインである。

厳しい予算額のお客様から「〇〇円以下のものはないのか?」といったオファーがあった時、前回書いた「つらさ」を覚えるのだ。
お客様のおっしゃる「〇〇円以下」のものは、自分の在庫には無いが仕入先に言えばいくらでも取り寄せられる。

が、それが自分のボーダーを満たさず、積極的にはお勧めしたくない出来のものであれば「苦しい」のだ。
といってお客様に「すいません。ありません」とか「売りたくありません」などともなかなか言えないものだ。

例えばの数字だが、8万円のお代を頂戴して納得のいかないお召し物を売るより、
お客様を何とか説得し、胸を張って納品できる10万円のお召し物をおすすめしたいのである。

お客様が当店で誂えて下さったきものを着ていざ出陣し、
目のある人々から「あらあなた、いいの着てるわねー。うらやましい!」の嵐を浴びて頂きたいのだ。

deadな8万円よりliveな10万円の方が絶対良いと確信している。
とはいえ商人(あきんど)は買って頂いてなんぼ、儲けてなんぼの存在であることも間違いない。
もう一度言うが「そんなもの絶対売りません」とはなかなか言えないものだ。

丹念にご説明申し上げてお買上げ品をグレードアップして頂くか、
「申し訳ございません。ご希望のものを探すことができませんでした」とするか、
それしか自分の呉服屋人生をかけたボーダーを守る術(すべ)はない。

憚りながらこれでもプロの端くれ。
そのきものがパソコン直結のインクジェットプリンタでちょちょいのちょいで染められたdead呉服か、
職人が熟練の手わざで染め・織り上げた光り輝くものか、一目見れば即わかる。

が、残念ながら世には光り輝かない呉服も大量に出回っている。
洟をかんで捨てるだけのティッシュペーパーなら「安さのみの追求」でもいいかもしれない。

何万円、十何万円、時には数十万円するものもある呉服。
消費者の皆さんには、大事な大事な対価(お金)がその呉服に相応しいのかどうか、
光り輝くものなのかそうでないのか、見抜く力を持って頂きたいのである。

そしてそれが、「安くて美味い回転寿司」なら尚いいのだ。
「高くて不味い」を見抜き、避け、勇気をもって「これ以下はおすすめしません」と伝え、
「安くて美味い」をさがすお手伝い。それが当店の存在意義。



うーむだめだ。
いくら核心に迫ろうとしても、書けないことは書けない。
ここで遂にあきらめます。
何度目かの竜頭蛇尾をお詫びします。ごめんなさい。

やっぱりブログはだめだ。





  1. 2016/08/07(日) 01:06:56|
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