呉服・和装・印伝 山森呉服店掲示板

お陰様で創業106周年。店主エッセイが多いかな。

浜の真砂③

先頃ご来店下さった初めてのお客様。お年頃は私と同じくらいか。
お客「このきものに合いそうな帯を見せてもらえませんか?」

おれ「いらっしゃいませ。わざわざおきものをご持参下さり話が早いです。ありがとうございます。
  ああ、素敵な紬(つむぎ)ですね
お客「知人のお子さんの結婚披露宴によばれたんです。でも、これに合いそうな帯を持っていなくて・・・」

おれ「えっ!これは紬ですから、およばれには全く向きませんよ」
お客「ええっ?およばれには着て行けないんですかこのきもの?」

おれ「これを着てきたから会場に入るなとは言われないでしょうけれど、あなたは笑われます。
   紬はおよばれ用のきものではありません。普段着またはおしゃれ着です」
お客「だって、私にこれを勧めた呉服屋さんが
   《これ、およばれにも大丈夫ですよ》って説明したから買ったのよ!高かったのよ!」

おれ「およばれには、訪問着か付け下げ、または色無地一つ紋が適当なきものなんですよ」
   嘘や慰めを申し上げてお客様が当日大変なことにならないよう、ここは思い切って真実を申し上げた。
お客「おーまいごっど!」




こちらもおーまいごっど!だ。

すごい呉服屋がいたものである。いや、本当に呉服屋だったのだろうか?
この手の話は昔から尽きることがない。星の数ほどあるトラブルパターンの、ほんの一例である。

振込み詐欺、還付金詐欺が後を絶たないのと似ている。
ニュースや何かでいやというほどそれを聞いているはずなのに、なぜか次々コロリコロリ。

ならば、そういう手合いが無限ならば、こちら(消費者)が知識を身に付けるしかないのではないか。
それが面倒ならその商品を買わないこと。
それでも欲しいなら、どの店が、誰が信用できるのか見抜く能力を備えること。

この業界に身を置き36年。この手の話は千回万回聞いても慣れることがない。


(完)





  1. 2017/02/06(月) 19:03:53|
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浜の真砂②

呉服屋に生まれ育ったとはいえ、私は誇張でなくきものの「きの字」も知らずに修業先に就職した。
22歳、昭和56年だった。

ゼロからスタートし、すごい勢いで知識と経験を蓄えていった。
修業先の上司・先輩、家に戻ってからは家族、仕入先・加工先。
多くの方々に教えてもらい、あるいは見て真似て覚え、吸収を続けた。

が、呉服・和装の先生は実は他にもいた。
修業先の千葉県でも寒河江でも、大勢のお客様方に育てて頂いたのである。
2、3年修業してきたくらいの若造など太刀打ちできないほどの豊富な経験と知識を、当時のお客様方は持っていた。

それから三十有余年が過ぎ、時代は激変した。
きもの離れは進みに進み、多くの日本人に呉服・和装の知識と経験が無くなった。

まず着ないのだから当たり前だ。恥でも何でもない。
誰が不必要で無駄な知識を苦労し、時間を掛け、身につけようとするだろうか。
私だって呉服屋でなければ何一つ知ろうとはしないだろう。

昔、目利きのお客様には下手な商品説明やおすすめなどできなかった。
笑われ、信用を落として終わりだからだ。

が、今は違う。
悪徳あるいは似非(えせ)呉服屋が盲の素人さんを騙そうとする時、それは赤子の手を捻るほど簡単な時代となった。
更に情けなく恐ろしいのは、売る方にもほとんど知識がなく、客に噓や誤りを言っている自覚も無い場合があることだ。

似非呉服屋が赤子お客に呉服をすすめる時、「これは10万円です」「50万円です」「100万円です」
と言えば、仕入原価がいくらのものであろうと盲お客にとってはその品物はその価格が妥当なものとなり、

プリント染であれインクジェットプリントであれ、似非呉服屋が
「これは手書きなんです」「これ、友禅なんです」といえば盲お客は「そうなんだ」と思い、

反物の端っこにハンコが押してあると「名のある高級品なんだ」と、オートマティックで思い込み、
(ハンコが押してあれば高級品というのなら、私は仕入れた反物すべてに私のハンコでも押してやろうか)

そのお客がなぜかその買った呉服屋にでなく、町の専門店にしみ抜きや寸法直しなどで、
買ったものを高級品である自信をもって誇らしげに持ち込む時・・・

プロは一瞬でモノを見抜く。
それがお客の思っているようなものでない場合、目もあり、真っ当で誇り高い商売しかしていないプロは、
一体どんな顔をしてお相手すればいいのか。

お客が欲するメンテナンスが5万円くらいかかりそうなとき、
「こんな、うちだったら3万円で販売するような代物に、それを上回るメンテ代をかけていいのだろうか?」
しかし依頼する方は、
「30万円もした高級品なのだから、望むメンテが5万円ならやむを得ないレベル」
と考えている、とか。


(つづく)






  1. 2017/02/03(金) 21:34:44|
  2. 店主の部屋
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浜の真砂①

きものには少し種類がある。TPOのことだ。

小紋(こもん)はおしゃれや茶席用。
江戸小紋は、背に縫い紋が一つ入ったりすれば準礼装。茶席にも。
紬(つむぎ)はいかに高額なものでもカジュアル(おしゃれ・普段着)用。
色無地(いろむじ)は慶弔両用の礼装。多くの場合背に抜き紋を一つ入れる。
留袖(とめそで)は既婚女性の第一礼装。色留袖はそれに準ずる。
振袖(ふりそで)は未婚女性の第一盛装。
喪服(もふく)はお葬式用。
訪問着(ほうもんぎ)や付け下げ(つけさげ)は相手方のお祝い事によばれて行く時に着る。

原則として袋帯(ふくろおび)は礼装で名古屋帯(なごやおび)はカジュアル。
ゆかたは素肌に着て足袋(たび)は履かない。単なる湯上り着。精々縁日や花火大会用。
留袖と喪服は(時に色無地も)、下に着る長襦袢(ながじゅばん)は白。色物はダメ。

礼装時は色物の半衿は使わない。白のみ。(白に刺繡は可)
男の礼装時(紋付きものに袴)は足袋は白。袴は縞。

地域や天候、主義主張・信念にもよるが、絽(ろ)のきものは7・8月用。
紗(しゃ)はそのほんのちょっと前後もOK。(6月下旬~9月初めとか)
単(これで「ひとえ」と読む。裏地のついていないきもの)は概ね5・6月と9月用。
袷(あわせ:裏地付きのきもの)は10月から4~5月用。

また、夏には夏用の長襦袢(絽・紗など。麻製もある)を着、それには絽の半衿を掛け、帯〆・帯揚は夏用のものを用いる。
小物ではあるが冬のものとは全く見た目が違うので要注意だ。


和装のTPOはたくさんある。

(つづく)







  1. 2017/02/01(水) 20:43:37|
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2月の臨時休業日

新年の最初のひと月がもう過ぎようとしていますね。速い速い。
私は今月、また一つ齢をとってしまいました。いやはや。

さて来る2月ですが、所用のため二日(二度)臨時休業日を頂きます。
2月4日(土)と、11日(土:建国記念日)です。
※定休日は毎日曜です。

ご不便をお掛けし、申し訳ございませんがどうぞよろしくお願い申し上げます。
また、冬はまだまだ続きます。皆様どうぞご自愛下さいますよう。





  1. 2017/01/30(月) 17:12:36|
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2017城址巡り初め

P1010555.jpg


織田天童氏のそもそもの居城、成生城(なりゅう:天童市)はきのう初訪問。
そして・・・

今日満を持し、わが県庁所在地にある身近な山形城(霞城:かじょう)址を訪れた。
ご存知戦国の大大名、最上義光(もがみよしあき)公の居城である。

上の写真は隣接する最上義光記念館の受付で求めたもの。「最上記(さいじょうき)」現代語訳を読むのは実に楽しみである。
貴重な展示物が目白押しの立派な記念館、なんと入館無料!太っ腹!


東北最大級の規模を誇る城もすごいが、関ケ原後の57万石という石高も、
豊臣と徳川を除けばなんと日の本中でビッグ5とか。
わが郷土の大名はすごかったのだ。

と言いながらも私が生まれ育った町は霞城から10数キロ北にある寒河江。
寒河江を長年治めたのは大江氏。その大江氏を攻め滅ぼしたのは最上義光。ということで複雑な思いもある。

わが家の本家は昔々、薬師(くすし)・医師として大江氏から請われ、
遥々庄内から月山を越えて寒河江に来、以来厚遇されたと聞いているから尚更だ。




子供の頃から数えて数回は訪れている山形城址、近年の歴史狂いとなってからは初となる。
近すぎて?!なかなか来れなかったが、その壮大さ、復元が進む各種構築物、そして義光公の立派な銅像。
単純に感激して目頭が熱くなった。

本丸は夏期のみ解放とか。また来なくては。
また、記念館も新たな発見がたくさんあり、行ってよかった。歴史ファンには強くお勧めします。







  1. 2017/01/09(月) 17:33:41|
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臨時休業日のおしらせ

来る1月9日(月:成人の日)、休ませて頂きます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。


ついでながら御挨拶を申し上げます。
ただいま開催中(本日最終日)の「初売り2017」には、賑々しいご来駕を賜り、厚く御礼申し上げます。
誠にありがとうございます。

尚、例年大人気の「もれなく〇〇入り!中身丸見え福袋は、追加対応をさせて頂いたため、まだございます。
ぜひお見逃しなくお求め下さいませ。


福袋
(イメージ画像)




  1. 2017/01/07(土) 10:18:06|
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謹賀新年2017(酉)

kadomatu - コピー


新年おめでとうございます。

もう少しお休みが続く方、そろそろ仕事始めという方、ご家族お揃いで楽しい正月を過ごされたのではないでしょうか。
また、年末年始も休み無しでお働きの方もいらっしゃるかもしれません。ご苦労様でございます。
いずれにしましても皆様お一人もれなく、健やかでお幸せな一年となりますようお祈り申し上げます。


さて、弊店も本日から創業106年目の営業を開始させて頂きます。
昨年頂きました多大なお引立てに心から御礼申し上げますと共に、
本年も倍旧のご愛顧を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。


今週は今日4日から7日(土)まで初売りです。

損得勘定ゼロの
「もれなく〇〇入り!中身丸見え福袋」
「特選呉服お年玉超特価」
「必ず当たる極甘福引」
など、
お正月らしく楽しさ盛りだくさんで皆様のお越しをお待ち致しております。
こちらもどうぞよろしくお願い致します。





  1. 2017/01/04(水) 07:40:51|
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年末年始休業と初売りのおしらせ

12月31日(土)~1月3日(火)の四日間、休ませて頂きます。


また、1月4日(水)~7日(土)の四日間、吉例初売りを催します。
尚、初売り期間中の営業時間は、10時~17時 とさせて頂きます。(※7日(土)は16時まで)

初売りの「売り」は、毎年大好評を頂いている↓

1.お客様丸儲け! もれなく〇〇入り!中身丸見え福袋

福袋

2.特選呉服お年玉超特価セール
3.空くじ全く無し!激甘福引


の三本立てです。
必ずお喜び頂きます!どうぞお見逃しなくお越し下さい。


今年も多大なご愛顧を頂き、誠にありがとうございました。
来年も倍旧のお引立てを賜りますよう、伏してお願い申し上げます。
それでは皆様、ご家族様お揃いで明るく健やかな新年をお迎え下さい。


店ロゴ(小)




  1. 2016/12/29(木) 08:31:47|
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ロス

「〇〇ロス」という言葉の使い方、今年あたりからよく聞くようになった気がする。

NHK朝ドラ「あさがきた」で、ディーン藤岡氏演じる五代友厚が死んでしまった時。
この年末で解散するSMAPのテレビ番組、SMAP×SMAPの最終回が流された昨夜。
NHK大河ドラマ「真田丸」が最終回だった先日の日曜。

その都度「ロス」という言葉がネットや新聞などに散見された。
この場合の「ロス」とは「喪失感」の事なのだろう。

私はというと、録画の真田丸最終回を見終わってから、十分「ロス」を感じた。
昨年、バイクで信州上田城、車で和歌山九度山を訪れるという偶然が重なり、
そこへ近年の歴史狂いも相まって、「真田丸ロス」は事前に予感できていた。

スマップも五代も真田丸も、大好きだった人たちは、大げさに言えば
「これから自分は何を楽しみに生きていけばいいのだろう」といったところではないか。
とてもよくわかる。

私も「これからの日曜の夜、おれは何をすればいいのだろう」だからだ。
真田丸は毎回もれなく見たもんな。

とても楽しませてもらったが、欲を言えばもう少し掘り下げて欲しかった。
例えば大坂の陣だけで一年かけるとか。ま、エンタテインメントにそれは無理難題か。






今月18日、かけがえのない人を突然なくした。(我が家の中の事ではありません。念のため)
かつて経験したことのない強く大きな「ロス感」から、今のところ全く抜けられない。




  1. 2016/12/27(火) 17:27:10|
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本ブログ改変のご挨拶

開設以来ちょうど11年。夢のように結構な時間が流れました。
このようなごちゃごちゃした稚拙なブログを長年にわたりご訪問下さった皆様に、改めて心から御礼申し上げます。

頂きました多くのコメントや拍手にもその度に力づけられ、本当に感謝しております。
誠にありがとうございます。

さて、変化を続けるIT時代に遂に脳が追い付かない齢となり、弊社並びに私佐藤個人どちらも、ここ以外にはいわゆるSNSは一切持っておりません。
一時期、こことは別にホームページに挑戦したこともありましたがものになりませんでした。

11年間という驚くべき長期にわたって無理を承知の公私混同を強行してきたわけですが、
(1、2年でやめなかった自分にあきれもしていますが)さすがに限界を感じるようになりました。

ということで、間もなく来るこの年末年始をいい区切りとし、ブログのタイトルやスタイルを大きく変えさせて頂くことにしました。
今後ここは(株)山森呉服店掲示板(仮称)とし、ほぼ「店からのおしらせ」機能だけにしたいと考えています。
「店主の日記」他のプライベートカテは、全廃はしなくとも激減させる予定です。

PCヴューでご覧の方はおわかりの通り、このブログには現在多数の「おバカカテ」が並んでいますが、
今後は「店からのおしらせ」と「店主随想」(仮称)の二つだけにしぼるつもりです。


無理はずっとは続かないし、この正月から久しぶりに「本当の日記」を書き始めたことも改変原因の一つになったと思います。
数千記事にも及んでしまったここには、本当に「日記代わり」の記事も多数含まれているので、
二、三年とか、短からぬ時間を掛けて取捨選択の上保存し、あとは全記事削除をしていく予定です。


このスタイルでのここを長い間ご愛顧下さり、本当にありがとうございました。
簡単で心苦しいのですが、以上を親愛なる皆様へのアカウンタビリティと御礼の言葉と致します。

(完全なお別れではないし、相当期間見た目はほとんど変わらないと思うので涙はありません)


店ロゴ(小)




  1. 2016/12/23(金) 15:42:44|
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プロフィール

佐藤達也 四代目店主

Author:佐藤達也 四代目店主
呉服・和装・印伝専門店

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